ソイプロテインは大豆から作られるプロテインですが、どのような製造方法で粉末になっているのか、詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。
「大豆をそのまま粉にしているの?」「製造工程で薬品を使うの?」「普通のきな粉とは何が違うの?」と疑問に感じることもあるでしょう。
実際のソイプロテインは、大豆から油分を取り除き、たんぱく質を濃縮・分離する工程を経て製造されることが一般的です。
また、濃縮大豆たんぱくと分離大豆たんぱくでは製造方法が異なり、完成した粉末のたんぱく質含有率にも違いがあります。
私は10年以上筋トレを続ける中で、ソイプロテインを使用した経験があります。毎日摂取する食品だからこそ、原料や製造方法を知っておくことは大切だと考えています。
この記事では、一般的なソイプロテインの製造工程を中心に、原料から粉末になるまでの流れと、製造方法による成分の違いを解説します。
- ソイプロテインが大豆から作られるまでの製造工程
- 濃縮大豆たんぱくと分離大豆たんぱくの作り方の違い
- 製造時に使われる水・アルコール・酸・アルカリの役割
- きな粉との違いや家庭で作る場合の注意点
ソイプロテインの作り方・製造方法を工程ごとに解説
ソイプロテインの製造方法は、原料となる大豆から油分や炭水化物などを取り除き、たんぱく質の割合を高めることが基本です。ただし、メーカーや製品の種類によって具体的な工程は異なります。ここでは、一般的な工業製法を順番に紹介します。
ソイプロテインの原料は大豆|きな粉とは製造方法が違う
ソイプロテインの原料は大豆です。
大豆には、たんぱく質だけでなく脂質、炭水化物、食物繊維などが含まれています。
そのため、大豆をそのまま粉末にしただけでは、一般的な高たんぱくソイプロテインと同じ成分にはなりません。
例えば、きな粉は大豆を炒って粉砕した食品です。大豆由来のたんぱく質を含みますが、脂質なども残っています。
一方、ソイプロテインは大豆から油分を取り除き、さらに製品によっては炭水化物などを減らして、たんぱく質を濃縮しています。
| 比較項目 | ソイプロテイン | きな粉 |
|---|---|---|
| 主な原料 | 大豆 | 大豆 |
| 主な製造方法 | 脱脂・濃縮・分離・乾燥 | 焙煎・粉砕 |
| たんぱく質含有率 | 高い製品が多い | 一般的に約35〜40% |
| 脂質 | 比較的少ない | 大豆由来の脂質を含む |
| 主な用途 | たんぱく質補給 | 料理・菓子・栄養補給 |
数値は一般的な目安であり、原料や製品によって異なります。
ソイプロテインときな粉の大きな違いは、たんぱく質を濃縮する工程があるかどうかです。
きな粉も栄養のある食品ですが、同じ粉末量で効率的にたんぱく質を補給するという目的では、ソイプロテインとは特徴が異なります。
製造工程①大豆の選別・洗浄・脱皮・粉砕
ソイプロテインの製造では、まず原料となる大豆の選別や前処理が行われます。
大豆には、収穫や輸送の過程で土や植物片などが混ざる可能性があるため、異物を取り除く工程が必要です。
その後、製造方法に応じて洗浄、乾燥、脱皮、破砕などが行われます。
脱皮とは、大豆の外側にある種皮を取り除くことです。
大豆の種皮には食物繊維などが含まれますが、高たんぱくな製品を製造する際には、目的に応じて取り除かれる場合があります。
また、大豆を細かく砕いたり薄いフレーク状にしたりすることで、後の油分除去やたんぱく質の抽出を行いやすくします。
一般的な工程を整理すると、以下のようになります。
原料大豆の前処理
- 選別:異物や品質に問題のある原料を取り除く
- 洗浄・乾燥:必要に応じて汚れや水分を調整する
- 脱皮:大豆の種皮を取り除く
- 破砕・圧扁:油分を取り除きやすい状態に加工する
これらの工程は製造設備や製品の仕様によって異なり、必ずすべての工場で同じ順番になるわけではありません。
製造工程②脱脂して大豆の油分を取り除く
大豆の前処理が終わると、次に油分を取り除く工程が行われます。
大豆には比較的多くの脂質が含まれているため、そのままではたんぱく質の割合を高めにくくなります。
工業的な大豆油の製造では、圧搾や溶剤抽出などの方法が用いられます。
溶剤抽出では、油を溶かしやすい性質を持つヘキサンなどの溶剤が使用される場合があります。
ヘキサンは大豆の油分を取り出すために利用されるもので、たんぱく質を増やす目的で添加されるものではありません。
抽出後は、加熱などによって溶剤を除去・回収する工程が設けられています。
こうして油分を取り除いた大豆原料は、脱脂大豆や脱脂大豆フレークなどと呼ばれます。
ヘキサンを使う製法について
ヘキサンを使用する製造方法があることと、完成したソイプロテインに危険な量のヘキサンが残っていることは同じ意味ではありません。
製造工程での除去管理や、適用される食品安全基準への適合を確認することが重要です。
また、すべてのソイプロテインが同じ脱脂方法で製造されているわけではありません。
脱脂方法が気になる場合は、メーカーが公開している原料情報や製造工程、品質管理に関する説明を確認するとよいでしょう。
製造工程③たんぱく質を濃縮・分離する
脱脂した大豆原料から、さらにたんぱく質の割合を高める工程が行われます。
ここで重要になるのが、濃縮大豆たんぱく(SPC)と分離大豆たんぱく(SPI)の違いです。
SPCはSoy Protein Concentrate、SPIはSoy Protein Isolateの略です。
一般的に、SPCはたんぱく質を濃縮した原料、SPIはたんぱく質をさらに高純度に分離した原料を指します。
濃縮大豆たんぱく(SPC)の製造方法
SPCは、脱脂大豆から水に溶けやすい糖類などを減らし、たんぱく質の割合を高めた原料です。
製造方法には、含水アルコールを用いる方法や酸性条件の水を用いる方法などがあります。
例えば、含水エタノールを用いる方法では、糖類などの成分を取り除きながら、たんぱく質を多く含む固形分を残します。
その後、洗浄や乾燥などを行い、濃縮大豆たんぱくを得ます。
SPCのたんぱく質含有率は、一般的に乾燥重量基準で約65〜70%以上が一つの目安です。
分離大豆たんぱく(SPI)の製造方法
SPIは、脱脂大豆からたんぱく質を抽出し、ほかの成分と分離することで製造されます。
代表的な方法では、まず水とアルカリ性の条件を利用して大豆たんぱく質を溶かし出します。
次に、遠心分離やろ過などで溶け残った繊維質などを取り除きます。
その後、pHを調整してたんぱく質を沈殿させ、回収します。
大豆たんぱく質の多くは、pH4.5付近で溶解性が低下する性質があり、この性質を利用する方法は等電点沈殿と呼ばれます。
回収したたんぱく質は、必要に応じて中和や洗浄を行い、乾燥工程へ進みます。
SPIのたんぱく質含有率は、一般的に乾燥重量基準で約90%以上が目安です。
| 比較項目 | SPC(濃縮大豆たんぱく) | SPI(分離大豆たんぱく) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 糖類などを減らして濃縮 | たんぱく質を抽出・分離 |
| 代表的な製法 | 含水アルコール処理・酸性水処理など | アルカリ抽出・等電点沈殿など |
| たんぱく質含有率の目安 | 約65〜70%以上 | 約90%以上 |
| 主な特徴 | 一部の食物繊維などが残る | たんぱく質の純度が高い |
これらは原料の一般的な規格の目安です。完成した市販のソイプロテイン飲料用粉末では、香料や甘味料などが加えられるため、製品全体のたんぱく質含有率は低くなる場合があります。
ソイプロテインのたんぱく質含有率が商品ごとに異なるのは、原料の種類や配合成分が違うことも理由の一つです。
製造工程④中和・加熱殺菌・乾燥して粉末にする
たんぱく質を濃縮・分離した後は、製品に合わせてpH調整、加熱処理、乾燥などが行われます。
特にSPIでは、等電点沈殿によって回収したたんぱく質を、必要に応じて中和してから加工することがあります。
その後、微生物管理や製品の性質を調整するため、加熱処理が行われる場合があります。
液状のたんぱく質原料を粉末にする代表的な方法が、スプレードライ(噴霧乾燥)です。
スプレードライでは、液体を細かい霧状にして熱風と接触させ、水分を短時間で蒸発させます。
これにより、保存や輸送がしやすい粉末状のたんぱく質原料が得られます。
ただし、製品によっては異なる乾燥方法が使われる場合もあります。
また、加熱処理によってたんぱく質の立体構造が変化することがあります。これは変性と呼ばれます。
たんぱく質が変性したからといって、必ず栄養価がなくなるわけではありません。
ただし、過度な加熱や加工条件によっては、一部のアミノ酸の利用性などに影響する場合もあります。
粉末化までの一般的な流れ
大豆の選別・前処理 → 脱脂 → たんぱく質の濃縮または分離 → 必要に応じたpH調整・加熱処理 → 乾燥 → 粉末原料の完成
実際の工程はメーカーや製品仕様によって異なります。
ソイプロテインの製造方法による違いと選び方
ソイプロテインは、製造方法によってたんぱく質含有率や風味、溶けやすさなどが変わります。ここからは、完成した商品を選ぶ際に知っておきたいポイントや、家庭で作れるものとの違いを解説します。
製造方法によって味・溶けやすさ・栄養成分は変わる?
ソイプロテインの味や溶けやすさは、原料の種類や製造条件によって変わります。
例えば、大豆由来の青臭さや独特の風味は、原料の処理方法や残存する成分によって違いが生じます。
また、たんぱく質の溶解性はpHや加熱条件、乾燥方法などの影響を受けます。
同じSPIを使用した商品でも、粒子の大きさや加工方法、配合成分によって、水への分散しやすさや口当たりが異なります。
市販のソイプロテインには、飲みやすさを調整するために、香料、甘味料、乳化剤、増粘剤などが使われる場合があります。
ただし、すべての商品にこれらが含まれているわけではありません。
製造方法によって変わりやすい特徴
- たんぱく質含有率
- 水への分散性や溶けやすさ
- 大豆特有の風味や口当たり
- 糖質・脂質・食物繊維などの残存量
なお、たんぱく質含有率が高いほど、必ず味や溶けやすさがよいわけではありません。
購入する際は、製造方法だけでなく、栄養成分表示や原材料名、実際の飲みやすさも確認するとよいでしょう。
ソイプロテインの製造で使う薬品や添加物は危険?
ソイプロテインの製造方法を調べると、ヘキサン、エタノール、酸、アルカリなどの名称が出てくることがあります。
これらを見て、安全性が気になる人もいるでしょう。
ただし、製造工程で化学物質を使用することと、完成した食品に危険な量が残留することは同じではありません。
例えば、ヘキサンは大豆から油分を抽出する工程で使用される場合があります。
エタノールは、濃縮大豆たんぱくの製造時に糖類などを取り除く目的で使用されることがあります。
また、酸やアルカリは、たんぱく質の溶解性を変化させたり、沈殿させたりするためのpH調整に使われます。
これらは、それぞれ製造工程で特定の役割を持っています。
重要なのは、使用される物質の種類だけでなく、使用条件、除去工程、残留量、製品の品質管理などです。
また、完成品に加えられる甘味料や香料などの食品添加物と、製造工程で使用される加工助剤は区別して考える必要があります。
製造方法と安全性を判断する際の注意
「薬品を使用しているから危険」「無添加だから必ず安全」といった判断は適切ではありません。
製造管理や食品安全基準への適合、アレルゲン表示などを確認することが大切です。
原料や製造方法が気になる場合は、メーカーが公開している情報を確認したり、問い合わせたりする方法があります。
家庭でソイプロテインを作ることはできる?
ソイプロテインを自宅で作れないかと考える人もいるかもしれません。
しかし、市販されているような高たんぱくのSPIやSPCを家庭で再現するのは簡単ではありません。
工業的な製造では、脱脂、抽出、分離、洗浄、乾燥などの工程を管理するための設備が使われます。
特に、たんぱく質を高純度で取り出すには、pHや温度、衛生状態などを適切に管理する必要があります。
家庭で大豆を粉砕しただけでは、脂質や炭水化物なども残るため、市販のソイプロテインとは異なるものになります。
そのため、家庭で大豆由来のたんぱく質を摂取したい場合は、きな粉や豆乳、豆腐などを利用する方が現実的です。
きな粉を使った簡単なたんぱく質補給
例えば、きな粉を牛乳や豆乳、ヨーグルトなどに加える方法があります。
きな粉20gに含まれるたんぱく質は、商品によって異なりますが、おおむね7〜8g程度が目安です。
ただし、きな粉には脂質や炭水化物も含まれるため、ソイプロテインと同じ成分にはなりません。
また、生の大豆をそのまま粉砕して飲むことはおすすめしません。大豆には適切な加熱処理が必要な成分が含まれるためです。
家庭では市販のきな粉や豆乳などを活用し、工業的なソイプロテインの製造工程を無理に再現しない方がよいでしょう。
製造方法が気になる人のソイプロテインの選び方
ソイプロテインを選ぶ際は、製造方法だけでなく、原材料や品質管理に関する情報も確認しましょう。
まず、原材料名に「分離大豆たんぱく」「大豆たんぱく」など、どのような原料が使われているか記載されているかを確認します。
ただし、原材料名だけでは、脱脂方法や抽出方法の詳細まで分からない場合があります。
また、製造国と原料大豆の原産国は同じとは限りません。
例えば、日本国内で製造されたソイプロテインでも、原料の大豆は海外産という場合があります。
私自身、以前ソイプロテインを購入していたときは、原料の産地も気にしていました。
毎日摂取するものとして、自分が納得できる原料の商品を選びたいという考えがあったためです。
ただし、特定の国の大豆だから危険ということではありません。安全性は原産国だけでなく、原料の管理や製造工程、品質検査などによって判断する必要があります。
購入前に確認したいポイント
- 原材料名に記載された大豆たんぱくの種類
- たんぱく質含有率と1回分の摂取量
- 原料大豆の産地や製造国に関する情報
- メーカーが公開している品質管理や検査情報
- 甘味料や香料などの配合成分
なお、製造方法を詳しく公開していないメーカーもあります。
情報が公開されていないからといって、直ちに品質に問題があるとは限りません。
気になる点がある場合は、購入前にメーカーへ問い合わせるとよいでしょう。
ソイプロテインの作り方・製造方法に関するよくある質問
Q. ソイプロテインは大豆を粉にしただけですか?
いいえ。一般的なソイプロテインは、大豆から油分を取り除き、たんぱく質を濃縮・分離する工程を経て作られます。
大豆を焙煎して粉砕するきな粉とは、製造方法や栄養成分が異なります。
Q. ソイプロテインは遺伝子組み換え大豆から作られていますか?
遺伝子組み換え大豆を使用しているかどうかは、商品や原料の調達方法によって異なります。
すべてのソイプロテインが遺伝子組み換え大豆から作られているわけではありません。
気になる場合は、商品の表示やメーカーの原料情報を確認してください。
Q. ソイプロテインの製造ではアルコールを使いますか?
濃縮大豆たんぱく(SPC)の製造方法の一つとして、含水エタノールを使用する方法があります。
ただし、すべてのソイプロテインでアルコールが使用されるわけではありません。
また、製造工程で使用することと、完成した製品に同じ量が残ることは異なります。
Q. ソイプロテインの原料が中国産でも大丈夫ですか?
原料の安全性を産地だけで判断することはできません。
重要なのは、原料の品質管理、製造工程、検査、適用される食品安全基準への適合などです。
原産国が気になる場合は、メーカーが公開している情報を確認するとよいでしょう。
まとめ|ソイプロテインの作り方・製造方法を理解して選ぼう
ソイプロテインは、大豆をそのまま粉砕して作られるものではありません。
一般的には、大豆の選別や前処理、脱脂、たんぱく質の濃縮・分離、乾燥などの工程を経て製造されます。
また、濃縮大豆たんぱく(SPC)と分離大豆たんぱく(SPI)では製造方法が異なり、たんぱく質含有率にも違いがあります。
製造時には、油分を取り除くための溶剤や、たんぱく質を分離するための酸・アルカリなどが使われる場合があります。
ただし、これらを使用することだけで完成品の安全性を判断することはできません。除去工程や品質管理などを含めて考える必要があります。
家庭で市販品と同じような高たんぱくのソイプロテインを作るのは難しいため、日常のたんぱく質補給には、きな粉や豆乳などを活用する方法もあります。
私自身、ソイプロテインを使用した経験はありますが、現在は飲んでいません。製造方法や原料について納得できる商品を選ぶことも、継続するうえでは大切だと考えています。
ソイプロテインを選ぶ際は、製造方法だけでなく、原材料・たんぱく質含有率・品質管理・体質との相性を総合的に確認しましょう。